Turning PointInterview
遠藤勝大氏
Interview2026.08.17

「【店舗】を作っているんじゃない。【人が集まる理由】を作っている」カルチュア・エクスペリエンス株式会社 新規営業部 部長・遠藤勝大が、「場」を編集し続ける理由

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Interviewee / 出演者

遠藤勝大

Katsuhiro Endo

カルチュア・エクスペリエンス株式会社 新規営業部 部長

「やんなきゃダメだろ、と思ってるだけなんですよね。」

そう言って笑う遠藤勝大氏は、いわゆる「大手企業の経営幹部」とは少し違う。カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)グループにて、北日本エリア統括、関連子会社取締役、公共事業、地域創生、行政連携、事業再建まで横断するキーパーソン。

だが彼の原点は、華やかな経営論ではない。マクドナルドの現場。コンビニの深夜勤務。新店舗立ち上げ。FC加盟企業との泥臭い交渉。時には「本当に殺されそうになった」という極限の修羅場。普通なら避けるようなカオスの中で、遠藤氏は一貫して「人と熱量」を見続けてきた。

彼が作り売っているのは、店舗でも、商品でもない。「人が集まり続ける理由」そのものだ。そして今、その編集領域は、書店の枠を超え、街づくり、カルチャー、行政、コミュニティ、再建事業へと拡張し始めている。

Profile

Katsuhiro Endo

遠藤勝大(えんどう・かつひろ)

カルチュア・エクスペリエンス株式会社 新規営業部 部長。1995年、McDonald’sにて店舗運営・採用・オープニング責任者を経験し、若くして店長代行を務める。1999年、FamilyMartへ入社。同期126名中最短で店長・SV昇格。新店舗開発、直営店譲渡、放送局コラボ企画などを推進。2006年、CCC入社。以降、新規出店、店舗改装、商品企画、FC統括、飲食事業、行政プロポーザル、商業施設開発、空間プロデュース、経営再建、M&A調整、地域創生などを横断。関西TSUTAYA取締役、北日本カンパニー社長、関連子会社6社取締役などを歴任。北日本エリアにおけるFC・直営・公共事業を統括しながら、「場の編集」を軸に新たな地域価値創出を推進し、現在に至る。

Turning Point

少しの違和感から、レールを降りた

遠藤氏の人生には、何度か【レールを外れる瞬間】がある。最初は20代前半。マクドナルドで順風満帆な日々を過ごしていた。成果を残し、役職者に対し真正面に意見をぶつけ、企画を形にし成果を残してきた。普通ならそのまま昇っていく。だが遠藤氏は、ふと違和感を覚える。

「このままいくのも違う気がしたんですよね」

だから、あえて環境を変えた。この経験が、後の遠藤勝大を決定づけた。遠藤氏と話していると、【会社に人生を預ける】という感覚が薄い。むしろ、「環境を変えながら、自分を更新する」という感覚でキャリアを歩いているようだ。そして、常に挑戦し続ける力は経験からくるものだと理解できた。

McDonald's時代の遠藤勝大氏
McDonald's時代。現場で店舗運営を学んだ20代の頃。

「死なないので大丈夫だと思っています」

遠藤氏は、かつて【本当に殺されそうになった】経験を淡々と語る。比喩ではない。交渉の現場で、極限の修羅場を経験した。だがその経験以降、「それ以上の恐怖が、今は起きていない」という。普通の人間なら、挑戦を避けるようになる。だが彼は逆だった。遠藤氏は「極限の恐怖」を見たことで、挑戦への恐怖や他の恐怖はなくなった。この感覚が、今の異常な推進力を作っているといえるのかもしれない。

何をクリエイトしたのか — 書店ではなく、【滞在理由】

遠藤氏の仕事を、単なる書店事業と捉えると本質を見失う。彼は、「【何か】を売る人」ではない。人がそこに居続けたくなる理由を編集している。

  • パン屋事業

    暮らしの動線に「立ち寄る理由」を編み込む。

  • 商業施設プロデュース

    テナントの集合体を、回遊する物語へと再設計する。

  • 地域行政連携

    行政課題に、民間の熱量と速度を接続する。

  • 神社・観光地との企画

    歴史と現代カルチャーを橋渡しし、新しい滞在体験を生む。

  • 自動車ディーラーとの送客施策

    業種を越えて、人の流れをデザインする。

  • フェスティバル冠スポンサー

    ブランドではなく、その場の熱量に投資する。

一見バラバラに見える。だが全て、「人の流れ」と「熱量」を再設計している。つまり遠藤氏は、【場の編集者】なのだ。

若き日の遠藤氏と仲間たち
若き日の遠藤氏と仲間たち。原点にあるのは、いつも「人と熱量」だった。

生存戦略の流儀 — 空気を読む。でも、空気に従わない。

遠藤氏は、「伸びる人の特徴」についてこう語った。

「空気を読むのがうまい人」

だが、ただの迎合ではない。今どこに熱量があるか。誰が疲弊しているか。どのタイミングなら動けるか。その流れを読む。しかし、本当にやるべきと判断した瞬間だけ、彼は空気を壊す。だから、行政も、現場も、FCも、巨大企業も、全部横断できる。

空白のピース — まだ【混ざっていない熱量】がある

遠藤氏が動かしている領域は、地域創生、公共事業、書店、商業施設、カルチャー、コミュニティづくりまで広がっている。普通なら、【完成された幹部】になっていてもおかしくない。だが本人は、まだ「完成した」とは一切思っていないだろう。

「もっと違う才能や熱量が混ざった時、まだ見たことのない景色になる」

ただ店舗を作りたいわけではない。ただ地域活性をしたいわけでもない。人が集まり、熱量が生まれ、カルチャーになる【理由】そのものを作ろうとしているのだ。だから今の遠藤氏の周囲には、まだ大きな【余白】がある。その未完成さこそが、遠藤勝大という人間の最も惹き込まれる魅力なのかもしれない。

共鳴するのは、「面白がれる人」

遠藤氏が求めているのは、優秀な作業者ではない。

  • 正解を疑える人

    前提を一度ひっくり返してから、自分の言葉で組み立て直せる。

  • カオスを楽しめる人

    整理されていない現場に、面白さと可能性を見いだせる。

  • 現場を嫌がらない人

    資料の上ではなく、人と熱量のあるところに自分の足で立てる。

  • 熱量で人を巻き込める人

    ロジックの前に、まず熱で場の空気を変えられる。

  • 最後までやり切る人

    途中で投げ出さず、結果が出るまで現場に居続けられる。

「出会いなんですよ、全部」

彼は何度かそう言った。つまり彼にとって、ビジネスとは「能力の足し算」ではない。【熱量の化学反応】なのだ。

未来の共鳴 — これから出会う未知の才能の武器が混ざったら

遠藤勝大という人間は、完成された幹部になろうとしていない。むしろ、未完成を面白がっている。だから今、遠藤氏の周囲には大量の【余白】がある。

もしそこに、地域への違和感、新しいカルチャー、表現力、編集視点を持った人間が混ざった時。おそらく、まだ誰も見たことのない「地域の熱狂」が始まる。地域、カルチャー、人、行政、コミュニティ、その全てを横断しながら、【人が集まり、熱狂が生まれる理由】そのものを設計する存在へ変わっていくのかもしれない。

満員のスタジアムに広がる熱狂
満員のスタジアムに広がる熱狂。遠藤氏が編集しようとしているのは、こうした「人が集まる理由」そのものだ。

Editor's Note

編集後記:この人は、【組織人の皮を被った編集者】だ

今回のインタビューで驚いたのは、遠藤さんの【コミュニケーション能力】だ。もっと重厚で、もっと理論派で、もっと「正しそう」な人を想像していた。だが実際は違った。

現場感覚が異様に強く、人の熱量を見ていて、人を魅了し、どこか飄々としている。そして沢山のモノを視野広く見ている。

この人は、大手企業を渡り歩いてきた完成されたビジネスマンではない。【まだ混ざろうとしている人】だ。そして、新しい市場は、いつだってそういう人間の周囲から生まれる。

遠藤さんと出会えたことは、間違いなく自分の視野を変えた。そう思わせる、「熱量を編集する人」だった。